11月15日に公開された「【中田×やまと①】コムドットがテレビ界に進出 / 2023年のYouTubeはどうなっていく? 」の中で中田敦彦氏とコムドットやまと氏の対談があまりにも面白かったので、その内容と考察についてご紹介します。
テレビとYouTubeが逆転する時代?
今年9月から地上波で始まったコムドットの冠番組「コムドットって何?」が深夜帯の放送時間にも関わらず、民放5社が共同で展開しているサービスTVerにおいて1位を取りました。
彼らの番組が斬新なのは、MCであるコムドットのメンバーが番組の演出や編集に口を出せること。中田敦彦氏も「ここ30年なかった現象」と驚愕し、電波の中にユーチューバーが侵食した結果、「テレビ番組を乗っ取った!」と称賛。
テレビ史上初の挑戦であり、今後はコムドットの後を追って人気ユーチューバーが「冠番組を持つ」という流れが出来上がっていくのかもしれません。若者の「テレビ離れ」を食い止めることができないテレビ局にとっても、新機軸の試みなのでしょう。
やまと氏は「ゴールデンで冠番組を持つこと」を目標として掲げ、さらに実績を作っていくこと、そしてテレビマン側の意向も汲み取りながら「ファンだけが知っているコアなツッコミ」を封じ「マス層が分かるツッコミや笑いを作っていく」ことを心掛けていると言います。
ところが中田敦彦氏は「この時代にマスってあるの?」という質問を投げかけます。
やまと氏は「40~50代のSNSを使っていない層」が「テレビを無意識的につける習慣がある」と言い、こうしたマス層の中で「30~40代の女性」を明確なターゲットにして、新たなファンを獲得する戦術を語ります。
やまと氏が「30~40代の女性」を狙うことにした背景には、バスケ部だった学生時代にサッカー部のお母様方からキャーキャー言われていた過去の経験があったと言います。
なかなか聞いたことがないですよね。同級生の女の子ならともかく、他の部活の生徒の母親から黄色い声援を送られるなんて・・・。
ほかにも、友達の女の子がお母さんと一緒に「嵐」が好きだったため、チケット代をお母さんが出してくれていたおかげでリッチに推し活ができていたというエピソードを思い出し、
ファンに対して「動画をお母さんにも見せて欲しい」と訴え、バイトができない中学生が写真集を手に入れるために「お母さんも好きだったら自分でお金を出さなくてもいい」と、そのメリットを主張しているようです。
めちゃくちゃ戦略的・・・。
やまと氏の頭の良さが改めて伺える一幕でした。
炎上の謝罪の場の使い分けが大事?
対談の後編動画ではユーチューバーの「スカイピース」の炎上について、二人の議論が白熱していきます。
ご飯を食べた後のスカイピースのリズムネタである「美味しいヤミー感謝感謝」が炎上した件について、それぞれの考察が際立っていました。
やまと氏は「単品の炎上ではない」と主張。
今回の炎上の前にメンバーの片方が彼女と破局したばかりで、その破局した理由が「世間的に受け入れがたかった」せいで「批判されやすい土壌」を形成してしまい、「何をするにも揚げ足状態」となっていたことに要因があったと持論を展開。
つまり、恋愛沙汰の炎上の際の対応が甘かったことで炎上を誘発してしまい、ファンですらも「応援しづらい風潮」を作ってしまったことに問題があると言います。
一方の中田敦彦氏は
ユーチューバー歴が長いにも関わらず、「若い世代向けのコンテンツ」を発信し続けたことによって「長年のファン層が求めるコンテンツ」とのズレと、「スカイピースが生み出すのが得意なコンテンツ」と「彼らの年齢」のズレが生じてしまったのではないか、と考察します。
スカイピースは新世代ユーチューバーと混じり合うことで「フレッシュさを実際の賞味期限以上にもたせた」というイノベーションを起こしたものの、その弊害が出てきたのではないか?と。
中田敦彦氏らしい、なかなか指摘しづらいがゆえの鋭い視点ですよね。
やまと氏は炎上した際の対応として、
「YouTubeで炎上したときは、インスタライブで謝罪する」ことがいかに重要であると語ります。
炎上の種類によりますが、本来インフルエンサーが謝罪すべき相手は自分のファン・視聴者であると述べ、YouTubeで謝罪動画を出してしまうと関係の無い人間の目に晒され、揚げ足を取りたいだけの人が集まってしまうと危険性を指摘。
ところがインスタライブなら「本当に好きな人しか観に来ない」ため、「本当に伝えたいことを雑音を気にせずに伝えられる」点に、SNSを使い分ける必要があることを分かりやすく解説していました。
まさに新世代ならではの発想ですね。
YouTubeで謝罪動画を投稿するだけでなく、その後にインスタライブで理由や詳細、本当の気持ちを伝えたり、文章にまとめてブログに上げるなど、「何回にも分けてコミュニケーションを取ること」でファンや視聴者に真摯に向き合い、彼らに理解してもらうことが炎上を収めるために有効だと言います。
これはインフルエンサーだけでなく、ビジネスマンにも通じるものがあります。失敗を犯してしまったとき、迷惑を掛けた相手にどうすれば理解してもらえるのか、どうやって怒りの矛を収めてもらえるのか、参考になると思います。
なぜ2人の対談がこんなにも面白いのか?
最後に、なぜ2人の対談がこんなにも面白いのかを考察していきましょう。
中田敦彦氏は「訳の分かっていない人や前提を共有していない人と喋ったときの絶望感・思考の解像度の荒い人とはこれ以上喋れないという感覚」を互いに一切感じることがなく、凄いスピードで打ち合う卓球のラリーのように会話することができるという点と、ちょうどいいくらいに年齢も離れているため、互いの異なる議論をぶつけられることに可能性を感じ、今後も番組をレギュラー化したいと提案します。
やまと氏もこれを承諾し、互いに「YouTube業界で喋っていて一番楽しい」と絶賛。
【中田×やまと②】コムドットの海外計画 / スカイピースの炎上騒動に思う事
前編・後編が公開されてまだ1日経ったばかりの現時点では再生回数がそこまで回っている訳ではありませんが、2人の対談動画が今後話題になっていくことは間違いないでしょう。
それぞれが持つ視聴者の属性が異なる点や、対談によって2人の人間性や思考が炙り出され、良い相乗効果を生み出している点からしても、この先に2人がMCとなってゲストを招くような番組にまで発展していくような予兆すら感じます。
やまと氏がここまで論理的で賢く、戦略家でありながらも尚且つ自分の思考を分かりやすく言語化できることを知ったときは本当に驚きました。コムドットのチャンネル自体はエンタメ色の強い動画ばかりなので、ビジネスマンの方々の多くは彼のそんな一面を知る由もなかったでしょう。
そんなやまと氏の発言が、芸歴も長く話術が巧みな中田敦彦氏によって総括され、さらにユーモアを交えて視聴者に「的確に・面白おかしく」伝わることで、シナジーを引き起こしているのでしょう。
次の対談動画も期待できそうです。
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